業務日誌#35

「しのご」が日々の業務で気が付いたことを、脈絡なく気ままに書き連ねています。

速歩術を目指して(ラマ僧から忍者、ナンバ歩き) その3

これまでチベット高原ラマ僧の速歩術を調べたが、これを参考に重量物を背負って神社の階段を使って速歩トレーニングを展開してみている。マンションの階段ではキチガイと思われようし、間違って警察を呼ばれてはかなわない。

難点はデイパックに入れる重量物が少ないこと。いまでは百科事典もDVDだし、もはや昔のように重量のある百科事典は持っていない。やむなく昔の広辞苑や分厚い本何冊かをデイパックに入れている。あくまでトレーニング用なので、重量があって読まなくなった本が最有力だ。

最近は近所の公園に転がっている、重量のある適当な石を2~3個拾ってきて準備してもいいかなと思う。その石を洗って、100円ショップあたりで買ってきた布袋を二重にして入れておけばいいだろうと考えているのだ。

こうした発想の参考になったのは、高校時代の山岳部の連中だ。どれほどの重量があるかは知らないし、また雨天だからかの記憶もないが、連中は何やらザックを背負って校舎階段の上り下りのトレーニングをやっていた。なお、大学時代の山岳部の連中は見たこともないので、トレーニングはどんなことをやっていたのかまったく知らない。知っているのは大学祭で、おちゃらけている姿だけ。

本や映画でしか知らないが、あの植村直己は大学生時代に山岳部であり、トレーニングもまずはとにかく山に登っていたらしい。大学の山岳部とはそのようなものなのか。いまの自分には、マネをしたくともできるわけがない。

さて、こうした山登り以外に、日本ではどのような速歩術があったのだろう。日本でなら、誰もがピンと来るのは忍者ではなかろうか。

 「マラソン選手は2時間走れば、しばらく走らないでもよい。だが忍者は明日も明後日も走り続けなければならないので、速度よりも疲労しない走り方をする方が重要」(「概説 忍者・忍術」山北篤著)だという。自分も同じで、フルマラソントライアスロン大会に出場すれば、翌日は100%の確率でトレーニングは休む。だいたいこうした大会は日曜日や祝日に開催されるから、翌日は確実に仕事をやっている。身体を休めることも重要なトレーニングなどと自分で言いながら、休む。そして飲んでいる……。

それはともかく、自分の速歩術の考え方に近いのは、飛脚、猟師、忍者の方だ。資料があるのは忍者である。

  • 忍者は1時間に4里(時速12キロ)、1日に40里(約120キロ)進むという。ただし、速く走るのと休息とを交互に行っているのか、平均速度で4里なのかといったさまざまな疑問に答える資料はないという。
  • 忍者は対外宣伝も必要だった。自分らの宣伝では、仲間内で最も長距離走の早い人間の記録を使っていたようで、このように想像すれば「1日に40里の移動」というのも納得できる数値という。
  • もっとも参考になるのが「力紙」だ。力紙とは、奥歯で八つ折にした紙を噛む方法という。そして自分の足元を見ながら、小刻みに歩く。
    「口を閉じて鼻で呼吸する方法は、現代でも行われている方法だ。足元を見ながらというのは、前傾姿勢を確保して、あまり足を高くあげずに走れということのようだ」と著者は想像している。

この力紙で思い出した。マラソン大会に参加していたころ、少しでも早く走れるようになりたいと思い、ボクシング選手のようにマウスピースを噛みながらトレーニングしたことがある。奥歯をかみ締めて、身体の力を振りだそうと考えた。でも結論からいえば、大失敗。ボクシング用ではなかったと記憶しているが、ランニング用途にマウスピースは合わない。

ネットで検索してみると、相変わらずボクシング用途のマウスピースは高いものから安いものまで沢山そろっている。さらに検索していくと、歯ぎしり防止用だが奥歯だけで噛めるようになっているマウスピースがあった。これだ。まずは、これを試してみなければなるまい。

なおチューインガムも試してみたが、あれはプロ野球の選手のように瞬間的に力を入れる場合ならともかく、速歩術のような長距離トレーニングには効果がないと思う。

一方、武道はあまり参考にならない。「武術はスポーツよりもっと精妙な動きをするので、体力要素の比重が落ちる」らしい。ボクシング選手のように体力というより「伝統的に武術特有の身体操作法や技術を身に染み込ませる『型稽古』が中心」だからだという。

さ らに武士は刀を所有しているため、「いつでも刀を抜けるような独特の走り方」(「古武術の発見 日本人にとって身体とは何か」養老孟司、甲野善記著)をし ていたようで、戦場で重量のある鎧兜を装着している場合ともなれば、戦場での行動も速歩術の参考にはなるまい。武士関連のことは、あまり速歩術の参考にはならないだろうと思う。

あてになるのは、日本では「忍者」ぐらいで、「飛脚、猟師」の速歩術は記録も解説本もない。知っている人は、ぜひ教えて欲しいものだ。