業務日誌#35

「しのご」が日々の業務で気が付いたことを、脈絡なく気ままに書き連ねています。

イチョウの葉の栞で「防虫効果」(?)

世の中にはときどき驚くようなニュースが流れるけど、「古本にイチョウの葉『大切にされていた証』」という記事には驚いた。つまり江戸時代あたりのころ、イチョウの葉を栞代わりに使うことで、このイチョウの葉の防虫効果が書籍保存に貢献しているということだ。

これはマネするしかない。普段は文庫本などに挟まっている栞を使いまわしているが、いまの季節は家の前のイチョウ並木が葉を落としているので、たくさんある。きれいな葉を何枚か選び自分専用の栞にしよう。

このような記事を読めば、本当に効果があるのかなと思うのは当然だ。上記に記事にも、疑問に思ったことが書かれている。しかし、イチョウの葉には防虫効果があることが分かったらしい。江戸時代には、そうした効力が経験的に分かっていたらしいが、その根拠まではわからなかったそうだ。

とまぁ、そんなことが上記のサイトには書かれている。

何枚かのイチョウの葉を集めたが、落ち着いて考えてみると疑問が出てきた。

江戸時代ともなればさまざまな紙がつくり出されていると思うが、原料や薬剤などなどは何種類もあったのだろうか。いまの紙となれば原材料のパルプのほかに、各種の特長を持たせる副次的な材料、また何種類もの薬液や薬剤が加えられているに違いない。

このように紙の製造技術の進歩で、いまや「本の虫食い」という現象どころか、その用語すらもこのところ聞いたことがない。本の虫干しというのも、むかしの風習を知識として知っているだけだ。「イチョウの葉を栞にすることで防虫効果を期待する」というのも、いまでは風流的な気分を味わうだけではないか。

面白いほど詰め込める勉強法」によれば、いまや大学教授でもマンション住まいなどが多くなり、家には書籍をあまり置いていないそうだ。さらに一軒家だったにしても普通の住宅なので、大量の本の重量には耐えられないと……。

また「知的生活の方法」を書いた渡部昇一のような、たくさんの蔵書を保管しておける家を持っている大学教授も、いまや非常に少ないなんてことも書いてある。

江戸時代と現代では、本の用紙の原料から製造方法まで大きく違うし、そもそも大量の自分用の蔵書すら持てなくなっている。古書集めを趣味とする人以外なら、いまやイチョウの葉を栞に使ってまで保存することは、たぶん風流ということ以外にないのではないか。そんなふうに思うのだった。