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業務日誌#35

「しのご」が日々の業務で気が付いたことを、脈絡なく気ままに書き連ねています。

「バガヴァッド・ギーター」のもろもろ

ちょっとインドの古典や文学に詳しい人なら、「バガヴァッド・ギーター」の名前ぐらいは聞いたことがあるだろう。驚いたことに、あのスティーブ・ジョブスもバガヴァッド・ギーターのファン(もしくは信仰者?)だったというのだから、少し興味を持った。

バガヴァッド・ギーターの概要ウィキペディアで読んでいただくとして、本体となる本は岩波文庫からのほか、読みやすいものとしては「バガヴァッド・ギーター 神の詩」がTAO LAB BOOKSにある。これらは巻末に簡単な解説があるとはいうものの、自分には理解しにくい個所もある(内容を読み込めないだけか)。

あるとき、なんと送料だけ受取人払いなら、クリシュナ意識国際協会の「バガヴァッド・ギーター あるがままの詩」を送付してくれるという人を見つけた。さっそく入手したら、本文の各句ごとに解説を加えた約950ページもの本だ。この本には、目次に各章の簡単な要約が加えてあるので、これを紹介したい。下記の紹介を読んでどう考え、どう思うかは本人次第で各人にまかせたい。気に入れば本を買えばいいし、気にくわなければ無視すればよい。

ともかくこの本は、いわゆる解説書も一体になっているようなものだ。

バガヴァッド・ギーター
あるがままの詩

 第1章 クルクシェートラの戦場における両軍を見渡す

 敵対する両軍が戦闘準備をして対峙したとき、豪勇の士アルジュナは、両軍の中に命を賭して戦う覚悟でいる親族や師、友人たちを見る。悲しみと哀れみに打ちひしがれて、アルジュナは力をなくし、茫然自失となって、ついに戦意を喪失する。

 第2章 「ギーター」の要旨

 アルジュナは弟子として主クリシュナに身を委ねる。ここからクリシュナのアルジュナに対する教えが始まる。まず主は、一時的な肉体と永遠の魂との根本的な違いについて説明し、続いて、輪廻転生の過程、至上者への無私無欲の奉仕の性質、自己の本性を悟った人の特徴について語られる。

 第3章 カルマ・ヨーガ

 この物質界においては、だれもが何らかの活動をしなければならない。しかし、活動は人をこのこの物質界に縛りつけもするし、反対にこの世界からの解放も与える。利己心を捨てて至上者を喜ばせるために活動することによって、人はカルマ(活動とその反動)の法則から逃れ、自己と至上者についての超越的知識を得ることができる。

 第4章 超越的知識

 超越的知識-魂、神、および魂と神との関係についての精神的知識-は人を浄化し、解放へと導く。この知識は、無私無欲の献身的活動(カルマ・ヨーガ)の果実である。主は、『ギーター』の古い歴史、主が定期的にこの物質界に降誕される目的と意義、グル(真理を悟った師)に近づくことの重要性を説明される。

 第5章 カルマ・ヨーガ-クリシュナ意識における活動

 外見上はさまざまな活動をしていながらも、内面では活動の結果に執着しない賢者は、超越的知識の火によって浄化され、平安、無執着、忍耐、精神的な視野、そして至福を達成する。

 第6章 ディヤーナ・ヨーガ

 アシュターンガ・ヨーガ(機械的な瞑想法)によって、人は心と感覚を統御してパラマートマー(スーパーソウル、各生命体のハートに宿る主の分身)に意識を集中する。この修行法の頂点はサマーディ、すなわち至上者を完全に悟った状態である。

 第7章 絶対者についての知識

 主クリシュナは至上の真理で、あらゆるものの最高原因である。主は物質的、精神的なあらゆるものの全てを維持している。高い悟りを持つ魂は献身的に主に服従する。その一方不敬虔な魂の心は他の崇拝の対象にそれている。

 第8章 至上者のもとに到る道

 全生涯を通じて、特に死の瞬間に、献身奉仕の中で主クリシュナを思い出すならば、物質界を超えた至上の郷に到達できる。

 第9章 最も秘奥な知識

 主クリシュナはバガヴァーンである。最高の崇拝の対象である。魂は超越的な献身奉仕(バクティ)によって主との永遠の関係を持っている。純粋な献身的な心を甦らせるなら、精神界のクリシュナのもとに帰っていくことができる。

 第10章 絶対者の豊潤なる質

 この物質界でも精神界でも、力、美、壮麗、荘厳を顕す全ての驚異的現象は、クリシュナの持つエネルギーと豊潤さの顕れのほんの一部分である。あらゆる原因の至上の原因で、あらゆるものを維持し、あらゆるものの神髄なので、主はあらゆる存在にとって最高の崇拝の対象である。

 第11章 宇宙普遍相

 主クリシュナはアルジュナに神聖な視野を与えて、全宇宙としての自らの無限の壮観な姿を顕した。このように、疑う余地のない神聖さを主は自ら示した。主クリシュナは自らの人間のような美しい姿こそが、バガヴァーンの本来の姿であると説明している。この美しい姿を見るのは、純粋な献身奉仕が唯一の方法である。

 第12章 献身奉仕

 バクティ・ヨーガ、すなわち主クリシュナへの純粋な献身奉仕が、精神存在の中で最も高いクリシュナへの純粋な愛を達成するための最も高く、最もふさわしい方法である。この最高の道を辿れる人は神聖な質を育むことができる。

 第13章 自然、享楽者、意識

 肉体、魂、そしてその二者を超えたスーパーソウルの、それぞれの違いを知る人は、この物質界から解放される。

 第14章 物質自然の三様式

 肉体に覆われた魂は三つの様式、すなわち徳、激情、無知という三性質に影響される。それらの三様式とは何か、それらがどのように作用するのか、人はいかにしてそれらを超越することができるかが、超越的境地に達した人はどのような特徴を示すのか。これらの点について主クリシュナが説明する。

 第15章 至上者のヨーガ

 ヴェーダ知識の究極の目標は、物質界の束縛から自らを解放することと、主クリシュナがバガヴァーンであることを理解することである。主クリシュナが至上のお方であると悟った人は主に服従し、主に献身奉仕を捧げる。

 第16章 神聖な質と悪魔的な質

 悪魔的な質を持つ者と経典の指示に従わず恣意的に生きる道は、より低い生命形態としての肉体が与えられ、物質的な束縛をさらに受ける。神聖な質を持ち規則に従う生活をする者は、しだいに精神的完成に到達する。

 第17章 三種類の信念

 物質自然の三様式に応じて三種類の信念がある。物質自然の三様式から三種類の信念が生まれるのである。無知や激情の様式の信念を持つ者の行動は、一時的で物質界の結果のみを生み、経典の指示に従って徳の様式で行われた行動は、ハートを浄化し、主クリシュナの純粋な信念と主への献身奉仕に人を導く。

 第18章 放棄の完成

 放棄の意味について、そして人間の意識と行動に物質自然の様式がどのような効果を与えるかについて、ブラフマンの悟り、『バガヴァッド・ギーター』の栄光、『ギーター』の究極目標について主が説明される。宗教の最も高い道は、主クリシュナへの無条件の絶対的な愛の服従である。それによって人は全ての罪から解放され、完全な啓発が与えられ、そしてクリシュナの永遠の精神王国に到達できるのである。

それにしても、このバガヴァッド・ギーターというのは、ネットでの解説もさまざま。例えば、松岡正剛の千夜千冊でも紹介されているが、これを読むと独りよがりのような解説が掲載されており、全体の構成がますます分からなくなる。こちらの理解力不足というより、松岡正剛の理解がこなれていないのだろう。

このほかにも、メルマガの「まぐまぐ」には「サンスクリット原典で読み解く『バガヴァッド・ギーター』」!HTML版」なんてのもある。こうした様々なものを読み込んでいくと、訳し方はさまざまなものの、案外にスジが通っていることが分かる。あたり前か……。

なお、マハトマ・ガンディーの伝記を読んだことのある人なら、彼の精神的支柱がこのバガヴァッド・ギーターであったことを知っているはず。なにしろ、ギーターに書いてあるごとくの信念を貫き通したようだから。